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衛星ビジネス、電波法の外資規制の撤廃見送りへ


政府が検討していた人工衛星の運用など宇宙関連企業に課している電波法上の外資規制の撤廃について、見送る方針を固めたことが15日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。

宇宙産業の外資規制をめぐっては、電波法の規定で外資の受け入れが制限され、国内ベンチャー企業が資金を集めにくい。菅義偉前政権は今年6月に有識者会議を立ち上げ、規制を撤廃して成長産業を後押しすることを検討していた。

ただ、後を継いだ岸田文雄政権は経済安全保障を重要政策と位置づけており、安全保障上重要な宇宙産業のの規制撤廃は困難と判断したもようだ。

総務省は同日開かれた情報通信分野の外資規制の在り方を議論する有識者会議の論点整理案で、人工衛星に関する外資規制について「経済安全保障の観点も十分に考慮して検討する」とした。有識者からは「全て外資規制を撤廃するのは理屈として通用しない。衛星の役割や運営者を個別に勘案すべきだ」と慎重な対応を求める意見が出た。

宇宙産業は災害や交通渋滞の予測、農業への応用などさまざまな分野への展開が想定され、大きな成長が見込まれる。他方、参入企業には経営規模が小さいベンチャーなども多く、海外からの資金調達を封じられると事業拡大の妨げとなる問題を抱える。

ただ、宇宙関連企業への外資による出資は外為法で事前届け出の対象とする制度で別途監視している。総務省はこうした状況も踏まえつつ、人工衛星に関する外資規制の撤廃は性急と判断したとみられる。

電波法では現在、外国政府や外国企業のほか、役員や議決権の3分の1以上を外資が占めている場合は無線局の免許を与えないこととしている。しかし、こうした規制は、米国や英国など欧米主要各国では既に存在しない。日本でも、携帯電話などの電気通信業務用の無線局や、同業務に使われる人工衛星を制御する無線局の外資規制は、通信事業の活性化などを目的に撤廃済みだ。

一方、同日の有識者会議は地域密着のFMラジオを流すコミュニティー放送への外資規制の緩和案なども議論された。今回の議論を踏まえ、11月をめどに最終的な結論を取りまとめる。

原文出處 產經新聞