三重大学(津市)が、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言が出されている地域から通う学生に対し、「会食しません」などの項目にチェックを入れる「誓約書」の提出を求めていることがわかった。大学側は「学生の安全を保つため」と説明し、罰則も想定していないとしているが、学内からも「やり過ぎ」などと批判の声が上がっている。
誓約書は、「十分な感染予防対策を講じます」「学内では一人で食事をします」「三重県内では、人数や時間を問わず会食しません」「旅行は控えます」「カラオケはしません」など8項目を列挙。学生に対し、学籍番号、学部、学年、名前を記入し、誓約する項目にチェックして出すように求めているという。
同大学の授業は現在、対面とオンラインを併用している。4月下旬、3度目の緊急事態宣言が出された東京や大阪など4都府県から通う学生に、対面授業に出る場合は事前に大学に連絡し、誓約書を出すように求め始めた。現在は、宣言への追加が決まった愛知、福岡両県からの学生にも、同様の対応を促しているという。大学は、誓約を破った学生に対する罰則などは想定していないと説明している。
学生らによると、誓約書のひな型は、全学生が閲覧できる同大学専用サイトに掲載され、学生はダウンロードして書き込み、提出する仕組みだという。
同大学のある教授は「このやり方はありえない。学生の人権をどう考えているのか」と問題視し、「大学は学生と一緒にコロナ対策を考え、大学生活をつくっていくべきだ」と指摘する。
三重県内在住の学生は「昨年は全ての授業がオンラインで、やっと大学に行けるようになったと思ったらこれ。怒りやあきれの気持ちしかない」と話す。
一方、三重大学学務部の担当者は「緊急事態宣言が出されている地域の学生には、特に高い意識を持って通ってほしい。自覚を促し、学生の安全を保つための対策です」と説明する。
三重大学では、これまでに学生が開いた食事会などで、学生が絡む4事例のクラスター(感染者集団)が確認されている。
原文出處 朝日新聞