日本高野連は、九回まで行われている試合を七回に短縮する「7回制」を巡り、滋賀県で今秋開催される国民スポーツ大会(国スポ)の高校野球競技(硬式、軟式)で導入することを決定した。日本高野連では昨年12月に「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」を設置しており、将来的な7回制の導入について年内にも方向性を示す予定だ。「甲子園という病」(新潮新書)など高校野球に関する著作のあるスポーツライターの氏原英明さん(48)に、7回制の導入について話を聞いた。
全面的な導入には反対
--日本高野連では、7回制導入について、議論が進められている
「小中学生は5~7回制で野球を行う機会が多い中で、高校野球で何を学ぶのか。そう考えたとき、9回制の野球を知ることは、選手たちが次のステップを踏む上で重要だと思う。7回制の導入によってそうした機会が奪われてしまうことは、次のステージを志す選手たちにとってマイナスになることも考慮しなくてはいけない。全面的に7回制を導入することには反対だ。現在の9回制の場合、投手はペース配分を考慮しながら投げるが、7回制になるとペース配分を考えずに投げることも考えられる。特定の選手に負担が生じ、故障するリスクが高まることもありうる」
--暑熱対策としてはどのような対策が必要か
「球数制限の導入によって、高校野球の指導者は継投を含めた起用方法を以前に比べて考慮するようになった。しかし、7回制を導入した場合には、これまで構築してきた流れを止めることにもつながりかねない。現行の9回制を維持したまま、球数制限をさらに厳格化する方法があってもいいのではないか。暑熱対策としては屋内球場での開催や、公式戦の日程を従来よりも長くすることも考慮すべきだろう。全面的に7回制を導入することには反対だが、たとえば1~3回戦は7回制、4回戦以降は9回制にするなど、大会の中で7回制と9回制の両方を採用するやり方があってもいいのではないかと思う」
高野連は抜本的な改革を
--7回制を導入するにあたって、指名打者(DH)制度は必要か
「7回制を導入した場合には各打者の打席数が減少し、7~9番の下位打線はさらに少なくなる可能性もある。7回制を導入するのであればDH制も導入することが望ましいが、DH制で選手の出場機会を増やすという意味では本来、現在の9回制の中で検討すべき議論だろう」
--選手の出場機会を増やすための方策は
「現在の高校野球の公式戦はトーナメント方式が中心。7回制が導入されれば、公式戦への出場機会減少は避けられない。例えば秋から春にかけてリーグ戦を導入することも一考だろう。選手たちの出場機会が増えるだけでなく、将来的に野球をやりたいと思う子供たちが増えるかもしれない。7回制を導入するのであれば、選手たちの出場機会を担保するためにも、高野連には抜本的な改革が求められる」
原文出處 產經新聞