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米が核戦力を誇示し、中朝を牽制 対日協議でB2爆撃機案内

バイデン米政権が北朝鮮や中国の脅威が高まるインド太平洋地域で、米国の核戦力を強調し拡大抑止を誇示する姿勢を強めている。4月の米韓首脳会談で拡大抑止の強化で合意したのに続き、6月の外務・防衛当局間の「日米拡大抑止協議」では、日本側に核兵器搭載が可能なB2爆撃機の視察機会を提供し発表資料に明記するなど中朝を牽制(けんせい)している。

日米は米中西部ミズーリ州の空軍基地で6月26日から2日間、審議官級らが参加し拡大抑止協議を開催。「地域における抑止に貢献する通常戦力と米国の核能力」を検討し、「抑止効果を増大させる活動の重要性」を確認した。

ただ、昨年11月の東京での前回協議で「突っ込んだ議論」をしたとの発表と大きく異なり、今回は米国の核戦力を誇示する内容が複数公表された。

今回は、協議参加者がB2爆撃機を視察し、同機のフライトシミュレーターを体験したと発表した。さらに退役した大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン2」の発射管制センターの視察も公にした。

B2爆撃機とミニットマンは「ICBM、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機の『核の3本柱』」を担う重要な兵器で、日本政府関係者は「米側がB2爆撃機などを案内したことにメッセージを感じる」と指摘する。

2010年創設の拡大抑止協議は「日米同盟の中核である拡大抑止の維持・強化の在り方を議論する」ことが目的。核抑止力の象徴である爆撃機やICBMの視察公表は、バイデン政権の日本に対する「核の傘」へのコミットメントを北朝鮮や中国に示した形だ。

バイデン政権は、弾道ミサイル技術を高める北朝鮮や軍備拡大を続ける中国の脅威によりインド太平洋地域の同盟国で不安が高まることを懸念している。

4月の米韓首脳会談では、北朝鮮による核攻撃に対し「米国の核兵器を含め断固とした対応」をとることで合意。弾道ミサイルを搭載できる米戦略原子力潜水艦の韓国派遣などを明記した「ワシントン宣言」を発表し、米国の核で韓国を守ることを明確に示した。

エスパー前国防長官は産経新聞の取材に対し、拡大抑止に関し、米国が核などで同盟国を守ることを「潜在的な敵対者」に理解させる重要性を指摘している。

バイデン政権の拡大抑止を巡る対応に関し、安全保障専門家からはインド太平洋地域で核武装論が高まらないよう「米国の意思をより明確にして脅威への不安を払拭する狙い」があるとの声も出ている。

原文出處 產經新聞